井伊農園長: 「媛っこ地鶏」は2002年に県の養鶏試験場(※)で開発された地鶏で、コクと旨みがあり脂のりがよく歯ごたえもあるという地鶏です。
飼育方法は「媛っこ地鶏」の生産者や流通業者で組織する「媛っこ地鶏振興協議会」があり、基準が決まっています。例えば、飼育期間は孵化日から80日〜150日までで、生後28日齢以降は平飼いで、1㎡あたり10羽以下で飼育するといった基準があるんです。うちでは、120日間飼育し、大きく成長させた鶏を出荷しています。
三瀬社長: 松山の飲食店に送ったところ、今まで使っていたものよりもかなり大きかったらしく「本当に『媛っこ地鶏』なんですか」って驚かれました。
井伊農園長: 社長の方針で1㎏ 幾らではなく、1羽3800円と決めて販売しているんです。購入者にとっては同じ金額を支払うのでも大きい方がいいわけですから、我々はなるべく大きくしてお売りしようと。儲けは少ないんですけどね(笑)。いいものを出して評価を受けて、少しずつ販路を広げていこうという戦略です。
三瀬社長: 飲食店やホテルなどがメインです。県内だけでなく東京や名古屋、大阪など大都市のお店にも出していて、比内地鶏などに並ぶ評価をいただいたりと、始めてまだ8年目ですが販路は広がっています。県外のお店に出すきっかけは、数年前に比内地鶏や名古屋コーチンの偽装問題があり、「出所の確かな、高品質の地鶏が欲しい」ということで紹介を受け、サンプルを送ったところ、大きさと質に驚かれ、それから取引が続いています。東京では焼き鳥一串が600円で販売されるような有名店からも注文をいただいています。
井伊農園長: 一つは飼育環境で、農園は山頂にあり風通しがよく日当たりのいい南向きにあるんです。鶏舎は必ず1カ月完全に空けられるようローテーションを組み、きれいに清掃して消毒して風を入れてやって乾燥させ、衛生面に気を配っています。また、高密度にならないように、十分なスペースをとって飼育しています。
餌は、地元の海産物問屋から商品にならない、いりことかちりめんじゃこをゆずってもらったり、市場で葉野菜や果物のハネものなどを箱に詰めてもらい、餌に混ぜて与えています。また、地元の菓子メーカーから、廃棄物扱いのカステラの切れ端をいただいて与えています。
これが鶏たちの大好物でね(笑)。 これらの餌のおかげで、鶏も太るし旨みも増すと思っています。
三瀬社長: 基本は配合飼料ですが、少量は生産者独自の餌を与えることができ、みなさん特色を出すために貝殻などを与えているところもあるようです。我々の場合、120日間飼育するので、その分餌代がかかりますので、こういったものを利用することはコスト面からも助かります。
三瀬社長: 販売額を上げるために、加工品の製造販売を始めています。生肉の出荷は取引量に波がありますが、生産者はそれを見込んだ生産ができませんから、確実に利益を出せることをやろうじゃないかと。昔、寿司店で働いていた職人がいますので商品開発や加工を担当してもらっています。最近は「媛っこ地鶏の鶏めし」という名前で鶏めしの販売を始めました。地元の八百屋さんや魚屋さんの活性化のために、そういった小売店に
置いてもらうようにしています。
まずは八幡浜市内と保内町、三瓶町の規模で、ある程度の基盤を作って行こうと思っています。さらに冷凍食品としての販売ができるように開発も続けています。また、地鶏だとすごく美味しいスープができるので、媛っこ地鶏を使ったラーメンやチキンカレーも考えています。これは、店舗販売ではなくインターネットでの販売を目指しています。